○肥満症
○糖尿病
○脂肪肝
○膵 炎
○胆石症・胆嚢炎
○通風(高尿酸血症)
○高脂血症
○腎不全
○糖尿病腎症
○ネフローゼ症候群
○透 析
○貧 血
○骨粗鬆症
○胃・十二指潰瘍
○高血圧症・心疾患
注意:
食事療法は大まかな目安であり、状況の変化に従って弾力的に変わっていきます。お医者様とよくご相談し、症状にあった食事療法を行って下さい。
■
肥満症
標準体重=身長(m)2×22
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
●ポイント
高血圧症、糖尿病、痛風、胆石症、心臓病などの合併症の予防。
●
エネルギー
20〜25kcal/標準体重/日
●
たんぱく質
エネルギーが不足状態となるため体蛋白が崩壊しないように1.2g/標準体重/日にする。
●
脂質
エネルギー比20〜25%。
●
食物繊維
空腹感緩和、便秘防止のため20〜25g/日 摂る。
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■ 糖尿病
●ポイント
標準体重をもとに、性別、年齢、肥満度、生活活動強度、血糖コントロール状態、合併症の有無などによりエネルギーを算出する
●
エネルギー
標準体重=身長(m)2×22
生活活動強度
・低い 20〜25kcal/標準体重/日
・やや低い 25〜30kcal/標準体重/日
・適度 30〜35kcal/標準体重/日
生 活 強 度
日常生活活動の例
日常生活の内容
生活動作
時間
I(低い)
安静
12
散歩、買い物など比較的ゆっくりとした1時間程度の歩行のほか、大部分は座位での読書、勉強、談話、また座位や横になってのテレビ、音楽鑑賞をしている場合
立つ
11
歩く
1
速歩
0
筋運動
0
II(やや低い)
安静
10
通勤仕事などで2時間程度の歩行や乗車、接客、家事等の立位での業務が比較的多いほか、大部分は座位での事務、談話などをしている場合
立つ
9
歩く
5
速歩
0
筋運動
0
III(適度)
安静
9
生活活動強度U(やや低い)のものが、1日1時間程度は速歩やサイクリングなど比較的強い身体活動を行っている場合や、大部分は立位での作業で合うが1時間程度は農作業、漁業などの比較的強い作業に従事している場合
立つ
8
歩く
6
速歩
1
筋運動
0
IV(高い)
安静
9
1日のうち1時間程度は激しいトレーニングや木材の運搬、農繁期の農耕作業などのような強い作業に従事している場合
立つ
8
歩く
5
速歩
1
筋運動
1
●
たんぱく質
1.2g/標準体重/日 蛋白尿などがある場合は1.0g/標準体重/日
●
糖質
吸収の速い単糖類(果物など)や二糖類(果物、砂糖など)は控える。
●
塩分
高血圧症、心臓病、高脂血症などを合併している場合は7g/日 以下にする。
●
食物繊維
食後の急激な血糖上昇を防ぎ、コレステロールの排泄促進などの効果があり、満腹感、便秘予防の上からも十分摂取する。
●
嗜好品
総エネルギーの10%程度を目安とする。しかし、頻繁なる摂取は控える。
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■ 脂肪肝
●ポイント
過剰となっている栄養素、アルコール、不足している栄養素のバランスを改善する。
A)過栄養性脂肪肝
●
エネルギー
エネルギーを制限して蓄積脂肪の消耗をはかる。また肥満による脂肪肝の約半数は耐糖異常が認められるため、エネルギー制限によるコントロールは重要。
25〜30kcal/標準体重/日
●
たんぱく質
1.2g/標準体重 動物性に偏らないようにする。
●
脂質
エネルギー比 20〜25%
B)アルコール性の場合
禁酒する。
常習飲酒者では、アルコール以外の食品からのエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミンの摂取が少なかったり偏っている場合が多いため、禁酒と同時にバランスのとれた食生活への改善が必要。
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■ 膵 炎
●ポイント
・
膵臓への刺激をさけ、膵臓の安静をはかる。
・
発症直後は非経口的に輸液により栄養と水分を補給する。症状の改善と共に糖質を主とする流動食から経口摂取を開始し、分粥食、軟食へと徐々に移行する。
・
たんぱく質は植物性たんぱく質、脂肪の少ない魚、肉類の順に変化させ食品に含まれる脂質の量を5〜25g/日 程度とし、安定期に少量用いる。
・
アルコール、コーヒーなどのカフェイン飲料は避ける。
■慢性膵炎
アルコールの長期摂取によるものが約60%、特発性が約30%、胆石症が約10%といわれるが、原因不明のものも多い。
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■ 胆石症・胆嚢炎
●ポイント
・
胆石による痛みをおさえ、急性期は絶食にして消化管刺激をさける。
・
過食、高脂肪食をさけ、規則正しい食生活を基本とする。ただし、脂質を厳しく制限すると、胆嚢収縮が減弱して胆嚢中に肝汁が停滞するため、胆石の生成や、その拡大あるいは感染などの原因となり逆効果をまねく。
・
たんぱく質は植物性たんぱく質、脂肪の少ない魚、肉類の順に変化させ食品に含まれる脂質の量を5〜25g/日 程度とし、安定期に少量用いる。
・
発作時には一般的に経口摂取が困難なため絶食とし、この間の水分と栄養補給は、経静脈栄養を実施する。
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■ 通風(高尿酸血症)
●ポイント
・
過食や肥満は尿酸値を上げる大きな要因になっている。そのため標準体重を目標にした肥満防止と解消にエネルギーを制限する。
・
尿酸排泄のため水分を十分に摂る。
・
プリン体含有量の多い食品の制限。*
●
エネルギー
25〜30kcal/標準体重/日
●
たんぱく質
1.0〜1.2g/標準体重/日
●
脂質
エネルギー比20〜25%
●
塩分
合併予防のため10g以下
*
プリン体は、うま味の成分のプリンヌクレオチドで水に溶けるため、その含有量は料理方法によっても変わる。蒸したり、揚げたりする料理より煮物などの料理方法のほうがプリン体は減ることになるため、プリン体含有量の多い食品は料理方法を考えて嗜好を満たす程度に摂取を制限する
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■ 高脂血症
●ポイント
動脈硬化を予防することを考え、エネルギー過剰摂取の是正、脂質バランスをよくする、食物繊維の摂取を増やすなど食生活の見直しをする。
食品中のコレステロールが高い食品の摂取を控えることが、必ず体内のコレステロールを下げるとは限らない。毎日の食事で摂る脂肪に含まれる飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸のバランス比がくずれた時にコレステロール値は上がる。
●
エネルギー
肥満を伴う場合 20〜25kcal/標準体重/日
●
脂質
脂肪の多い肉類の摂取を制限し、魚類(鰯、秋刀魚、鯖、鮪など)、大豆製品を積極的に摂る。
●
糖質
砂糖、果物、ジャム、蜂蜜、菓子類などは中性脂肪への合成を促進する。また、インスリン分泌を亢進させるため制限する。
●
食物繊維
コレステロール低下作用。
*水溶性食物繊維は胆汁酸と結合して胆汁酸の排泄を促進する効果がある。
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■ 腎不全
●ポイント
十分なエネルギーの供給を条件とした低たんぱく質の食事。
A)急性腎不全
短期間のうちに腎機能が廃絶し、老廃物の排泄や体液の恒常性が維持できなくなった状態。
●
エネルギー
*エネルギー不足は体たんぱく質の分解をもたらすので注意する。
35〜40kcal/kg/日
●
たんぱく質
内科的急性腎不全 0.5〜0.8g/kg/日
外科的急性腎不全 0.7〜1.0g/kg/日
●
塩分
7g/日 以下(高血圧、浮腫の程度に応じて適宜減量)
B)慢性腎不全
腎疾患が治癒せず進行悪化した終末像で、腎臓の糸球体、尿細管機能が極端に低下したため体液の恒常性維持が不可能になった状態。
●
エネルギー
十分なエネルギー
●
たんぱく質
アミノ酸価の高い動物性たんぱく質主体
●
塩分
浮腫合併症では4〜5g/日 以下
●
カルシウム
食事摂取基準に準じ、Ca製剤により補充。
●
ビタミン
ビタミン剤服用
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■ 高脂血症
●ポイント
糖尿病の三大合併症のひとつである。血糖コントロールが第一原則。
●
エネルギー
活動に見合ったエネルギー摂取。
●
たんぱく質
腎炎の進展を阻止するために、たんぱく質過剰摂取にならないように注意し、良質のたんぱく質を選択する。
0.8〜1.0g/kg/日
●
脂質
エネルギー比 25〜30%
●
塩分
血圧管理の必要性から7g/日
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■ ネフローゼ症候群
●ポイント
・
高エネルギー、高たんぱく質、減塩の食事が基本となる。しかし、高たんぱく食にするとアルブミンの合成は増すが、尿たんぱく量も増加する。したがって、ネフローゼ症候群の腎機能が正常であれば、高たんぱく質食を選び、ネフローゼ症候群が改善しないで腎機能が低下して慢性腎不全に移行してくると低たんぱく食となる。
・
ネフローゼ症候群の低たんぱく食の適応は、血清アルブミン値などをモニターし、症例ごとに慎重な経過観察が必要であり、0.6g/kg/日 以下では栄養障害が生じる場合がある。
エネルギー
kcal/kg/日
たんぱく質
g/kg/日
塩分
g/日
カリウム
g/日
水分
微小変化型ネフローゼ症候群以外
35
0.8
5
血清カリウム値より増減
制限せず
治療反応が良好な微小変化型ネフローゼ症候群
35
1.0〜1.1
0〜7
血清カリウム値より増減
制限せず
(腎疾患患者の食事療法に関する小委員会:暫定案,1995,11月より)
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■ 透 析
●ポイント
原疾患に適正なエネルギーとたんぱく質を摂取することにより、体たんぱく質の崩壊を抑制するとともに、たんぱく代謝産物(窒素化合物・・尿酸、尿素、クレアチンなど)の体内貯留を予防する。たんぱく質を含む食品にはリンが含まれており、野菜や果物に含まれるカリウムと共に、生体内の貯留動向に注意する。
(食事基準)
血液透析(週3回)
腹膜透析
エネルギー
30〜35kcal/kg/日
29〜24 kcal/kg/日
たんぱく質
1.0g/kg/日
1.1〜1.5g/kg/日
塩 分
5〜7g/日以下
5〜7g/日以下
食事中の水分を含む
1.0〜1.2L/日
1.0〜1.2L/日
カリウム
1.0〜1.2L/日
2.0〜2.5g/日
リ ン
700mg/日
700mg/日
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■ 貧 血
●ポイント
・
食事療法では速やかに貧血の回復が期待できないため、薬物療法(経口鉄剤、非経口鉄剤)を行う。したがって、食事療法は薬物療法の補助的役割となる。
・
造血と造血機能を高めることを原則とし、高たんぱく質食として、エネルギー、ビタミンCを十分に摂る。
・
吸収の良いヘム鉄(動物性たんぱく質)の摂取が最も有効である。
・
高齢者は胃酸の分泌が低下し、食欲がおち、食事の摂取量が少なくなってきているため、まずは必要量を満たすことから始める。
(造血に必要な栄養素とその生理作用)
栄養素
比較的多く含む食品
生理作用
動物性たんぱく質
魚介類、獣鳥肉類、卵
赤血球産生に必要
鉄
レバー、獣鳥肉類、うなぎ、かき、小魚、そら豆、大豆、小松菜、ほうれん草、プラム
赤血球内ヘモグロビンの構成成分
銅
レバー、かき、ごま、ひじき、若布
造血成分として鉄に次いで重要な栄養素
ビタミンB12
レバー、あさり、かき、しじみ、鰯、卵、スキムミルク、チーズ
コバルトを含み、悪性貧血に効果がある。葉酸と共に核酸合成に関与
葉 酸
レバー、アスパラガス、ほうれん草、レタス、きのこ、ブロッコリー
ヘモグロビン合成における、ポリフィン環の形成に関与
ビタミンB6
レバー、獣鳥肉類、卵、チーズ、人参、ほうれん草
たんぱく代謝に関与する酵素の補酵素として大切
ビタミンC
新鮮な野菜、果物
鉄を還元し、鉄の吸収をよくする
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■ 骨粗鬆症
●ポイント
骨量の減少を防ぐために、十分なカルシウムの摂取と適度の運動、日光浴に努めることが大事。運動は、血流量が増え、骨芽細胞の働きが活発になり、カルシウムを骨に沈着させる働きがある。
●
カルシウム
現行のカルシウム所要量は最低必要量と考える。
閉経後の女性・・1000〜1200mg/日
高齢者・・・・・腸管からのカルシウムの吸収低下がおこることも考慮して1000mg/日(最低850mg)以上の摂取が望ましい。
ビタミンDとマグネシウム(カルシウムの代謝に必要)も十分に摂取する。
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■ 胃・十二指潰瘍
●ポイント
・
現在では従来ほど厳しい食事制限は行われておらず、合併症の認められているときに限り食事制限を行う。基本は十分な栄養の補給である。
・
吐血、下血がみられるときは、暴飲暴食は慎み、長期間の空腹は避ける。
・
分割少量摂取。軽い中間食を摂る。
・
胃酸分泌を促すアルコール、コーヒー、及び強い香辛料、刺激性のある嗜好品は避ける。
・
70℃以上の熱いもの。10℃以下の冷たいものは避ける
*
身体の安静と共に、精神の安静も大切
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■ 高血圧症・心疾患
●ポイント
減塩食を基本とし、カリウムを多く含んでいる野菜類、適度な量の果物の摂取。水分の摂りすぎには心臓に負担をかけるため注意する
●
エネルギー
標準体重を維持するエネルギー摂取。肥満の場合は25〜30kcal/標準体重/日
●
塩分
状態に応じた塩分制限を行う(5〜10g/日)。
●
脂質
エネルギー比 20〜25%
●
嗜好品
濃いコーヒー、煎茶は不眠、心筋梗塞などを引き起こすため控える。
心疾患は喫煙、飲酒は禁止。
【参考図書】
・新しい臨床栄養管理
医歯薬出版株式会社 渡辺早苗 寺本房子 佐藤文代 笠原賀子 編
・検査値に基づいた栄養指導
チーム医療出版 足立香代子 著
・栄養科学シリーズNEXT臨床栄養学
講談社サイエンティフィク 武田英二 中坊幸弘 編
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